Mihata
AI活用2026.09.19

文字起こしAPI料金比較2026|1時間$0.10からの実額表

文字起こしAPIの料金は、各社とも「100万トークンあたり」や「1分あたり」で書かれていて、そのままでは比べられません。そこで本記事では、すべて「音声1時間あたりいくら」に揃え直した実額表を作りました。2026年9月時点の公式料金でもっとも安いのは xAI の Grok Voice Transcribe 2.0 のバッチ処理で、音声1時間あたり0.10ドルです。ただし安さだけで選ぶと、話者分離の扱いやストリーミングの可否、停止予定のモデルを掴んでしまうといった落とし穴があります。

以下の数値は、各社の公式料金ページに掲載されている単価から計算したものです。料金は変更される可能性があるため(各社とも subject to change と明記しています)、契約前には必ず公式ページでご確認ください。

音声1時間あたりの料金比較表(2026年9月時点)

バッチ(音声ファイルをまとめて投げる)とストリーミング(会議中にリアルタイムで流す)は単価が大きく違うので、列を分けています。「1時間あたり」は、1分単価のモデルについては単価×60で計算した値です。

モデル

提供元

バッチ(音声1時間)

ストリーミング(音声1時間)

話者分離

停止予定

grok-voice-transcribe-2.0

xAI

$0.10

$0.20

追加費用なし(最大8チャンネル)

なし

gpt-transcribe

OpenAI

$0.27($0.0045/分)

公式料金ページに記載なし

なし

gpt-live-transcribe

OpenAI

$1.02($0.017/分)

公式料金ページに記載なし

なし

gemini-3.5-transcribe

Google

約$0.30(約$0.005/分)

最大8人(3人以上は実験的)

なし

gemini-3.5-transcribe-live

Google

約$0.54(約$0.009/分)

Live では非対応

なし

gpt-4o-transcribe

OpenAI

$0.36($0.006/分)

別型番の diarize 版あり

2027年2月26日

gpt-4o-mini-transcribe

OpenAI

$0.18($0.003/分)

公式料金ページに記載なし

2027年2月26日

whisper-1

OpenAI

公式料金ページから削除済み・要確認

非対応

2027年2月26日

表を作っていて、いちばん驚いたのが xAI と他社の開きです。Grok Voice Transcribe 2.0 のバッチは音声1時間あたり0.10ドルで、OpenAI の gpt-transcribe(0.27ドル)のおよそ3分の1、Google の gemini-3.5-transcribe(約0.30ドル)のおよそ3分の1です。ストリーミングでも0.20ドルで、gpt-live-transcribe の1.02ドルとは5倍ほどの差があります。

なお whisper-1 は、2026年9月時点で OpenAI の公式料金ページの Transcription models 表に掲載されていません。過去の単価を記憶で書くことはできるのですが、公式に載っていない数字を比較表に置くのは誠実ではないので、ここでは「要確認」としています。いずれにせよ停止予定のモデルなので、新規に選ぶ対象からは外れます。

なぜ「1時間いくら」に揃える必要があるのか

比較を難しくしているのは、課金単位がモデルごとにバラバラなことです。xAI は最初から「音声1時間あたり」で公表していますが、OpenAI は「1分あたり」、Google は「100万トークンあたり」が一次情報で、そこから実効レートが算出されています。

とくにトークン課金のモデルは、そのままでは総額が読めません。Google は公式に「音声は1秒あたり25トークン、テキストは1分あたり175トークン」という前提を置いて実効レートを示しており、この換算があってはじめて1分約0.005ドルという数字が出てきます。裏を返すと、早口の音源や無音の多い録音では請求が上下するということです。

一方 xAI の0.10ドルは音声の長さに対する固定レートなので、月間の音声時間さえ分かれば総額がそのまま読めます。予算を先に決めたい会社にとっては、この「読みやすさ」自体が価値になります。Gemini 側の料金体系と制約はGemini 3.5 Transcribeの料金と話者分離の制約に詳しくまとめています。

xAI:Grok Voice Transcribe 2.0(追加機能が無料)

xAI は2026年9月18日に Grok Voice Transcribe 2.0 を一般提供として公開しました。料金は1.0 と同額の据え置きで、バッチ0.10ドル・ストリーミング0.20ドル(いずれも音声1時間あたり)です。

料金表を作るうえで効いてくるのが、話者分離・単語単位のタイムスタンプ・キーワードバイアスが追加費用なしと公式に明記されている点です。他社では話者分離を有効にすると制約が付いたり、別型番になったりします。単価が同じでも、機能を足したときの総額で差が開く構造になっています。

機能面では、バッチとストリーミングの両方、単語単位のタイムスタンプと信頼度スコア、最大8チャンネルの話者分離、1リクエストあたり最大100語のキーターム指定、数値・日付・通貨・電話番号・メールアドレスの整形出力、フィラー除去、ターン終了検出が挙げられています。精度については、Artificial Analysis の公開リーダーボードでストリーミング32モデル中1位、短文の多言語コマンドでは単語誤り率が1.0 の20.6%から6.8%へ改善したと公表されています。採用事例としては、Atlassian の Loom が全動画の文字起こしをこのモデルへ切り替えたことが挙がっています。

ひとつ注意が要るのは既定値です。API の既定はまだ grok-voice-transcribe-1.0 のままで、2.0 を使うにはモデルIDを明示指定する必要があります。しかも公式は「1.0 は数週間のうちに deprecated になる」と書いており、具体的な日付は公表されていません。放っておくと、安いほうを使っているつもりで古いモデルに当たり続けることになります。切り替えの手順はGrok Voice Transcribe 1.0の廃止と2.0への移行手順にまとめました。日本語での扱いはGrok Voice Transcribe 2.0の日本語対応で整理しています。

OpenAI:安いが、停止予定の見極めが要る

OpenAI の現行モデルは gpt-transcribe(1分0.0045ドル=1時間0.27ドル)と gpt-live-transcribe(1分0.017ドル=1時間1.02ドル)です。バッチは他社と比べて中位、ストリーミングは表の中でもっとも高い水準になります。

見落としやすいのが停止予定です。公式の Deprecations ページによると、whisper-1gpt-4o-transcribegpt-4o-mini-transcribegpt-4o-transcribe-diarize の4本が2027年2月26日に停止予定、realtime 系・audio 系は2027年1月20日に停止予定とされています。いま単価表だけを見て gpt-4o-mini-transcribe(1時間0.18ドル)を選ぶと、1年半後に必ず移行作業が発生します。

すでに whisper を本番で使っている場合は、移行そのものが避けられません。期限と移行先の整理はwhisper-1の2027年2月終了と移行先の選び方にまとめています。どうせ触るなら、そのタイミングで他社と比べ直すほうが合理的だと考えています。

月間音声時間からの試算(ケース別)

計算はとても単純で、月間音声時間 × 1時間あたりの単価です。自社の音声時間を当てはめれば、月額がそのまま出ます。代表的な3ケースで並べると次のようになります。

モデル(1時間単価)

月10時間

月100時間

月1,000時間

Grok Voice Transcribe 2.0 バッチ($0.10)

$1

$10

$100

Grok Voice Transcribe 2.0 ストリーミング($0.20)

$2

$20

$200

gpt-transcribe($0.27)

$2.7

$27

$270

gemini-3.5-transcribe(約$0.30)

約$3

約$30

約$300

gemini-3.5-transcribe-live(約$0.54)

約$5.4

約$54

約$540

gpt-live-transcribe($1.02)

$10.2

$102

$1,020

月10時間の列を見ると、最安と最高の差は月9ドルほどです。ここで乗り換えを検討するのは、正直なところ時間の使い方として割に合いません。差が効いてくるのは月100時間を超えたあたりからで、月1,000時間なら年間で1万ドル以上の差になります。コールセンターの全通話や、動画コンテンツを継続して文字起こしする用途がこの規模に入ってきます。

目安として、1日1時間の会議を営業日だけ録音すると月20時間前後、10人の営業チームが全商談を録音すると月100〜200時間、コールセンターで10席が稼働すると月1,000時間を超えます。まず自社がどの列にいるかを数えてから、表に戻ってくるのがおすすめです。

とはいえ、単価表を作ったあとに「で、自社のどの業務に挿すのか」で止まってしまうことも多いと感じています。Mihataでは、その一段目を一緒に決めるところからお手伝いしています。もしお役に立てそうでしたら、ご覧ください。

安さだけで選べない3つの理由

日本語の精度は単価表に載っていない

どの提供元も、日本語単体での精度を公式に数値で出していません。xAI が引用している Artificial Analysis のリーダーボードも多言語での総合評価で、日本語の会議音声にそのまま当てはまるとは限りません。「対応言語に日本語がある」ことと「自社の音源で使える精度が出る」ことは別の話です。

機能を足したときに条件が変わる

表の「話者分離」列にある通り、扱いは各社で違います。xAI は追加費用なしと明記、Google は話者分離や単語タイムスタンプを有効にすると1リクエストの音声長が30分までに縮み、読みやすく整形する smart モードとは併用できません。必要な機能を全部有効にした状態で比べ直さないと、表の順位はひっくり返ります。

API 単価の外側にコストがある

API を使う以上、音声のアップロード、出力の整形、保存先と権限の用意はすべて自前です。既存の文字起こしサービスが持っている録音・共有・検索まで作り直すと、その工数は単価差をかんたんに超えます。月100時間規模で年間200ドルの差なら、開発と保守に何日かけられるかを先に考えたほうが早い、というのが正直なところです。

判断の順番

ここまでを踏まえた選び方を、順番で書きます。

  • まず自社の月間音声時間を数える:月10時間規模なら、どれを選んでも月数ドルです。いま動いているものを触らないのがもっとも安く済みます。
  • バッチかストリーミングかを決める:会議中にリアルタイム表示が要らないなら、バッチだけで済みます。表のとおり、ストリーミングは2〜4倍の単価です。
  • 必要な機能を有効にした状態で見積もる:話者分離・タイムスタンプ・専門用語の登録を使うなら、その条件での制約と単価で比べ直します。
  • 最後に自社の音源を1本通す:候補を2つに絞り、実際の会議音声を同じ条件で投げて読み比べます。数十円で終わる検証で、単価表より確かな材料が手に入ります。
  • 停止予定を必ず確認する:2027年2月26日に消えるモデルを新規に選ばないだけで、1年半後の作業がひとつ減ります。

まとめ

音声1時間あたりに揃えると、2026年9月時点の最安は xAI の Grok Voice Transcribe 2.0 のバッチで0.10ドル、次いで gpt-4o-mini-transcribe の0.18ドル(ただし2027年2月26日停止予定)、gpt-transcribe の0.27ドル、gemini-3.5-transcribe の約0.30ドルという並びになります。ストリーミングでは Grok の0.20ドルと gpt-live-transcribe の1.02ドルで5倍ほど開きます。

ただし差額が意味を持つのは月100時間を超えたあたりからで、それ未満なら移行の手間のほうが高くつきます。単価表は入口であって、決め手は「必要な機能を有効にした条件での総額」と「自社の音源での精度」です。料金は変更される可能性があるので、最終的な判断の前には各社の公式ページでご確認ください。

よくある質問

文字起こしAPIは1時間いくらですか。

2026年9月時点の公式料金では、xAI の Grok Voice Transcribe 2.0 がバッチ処理で音声1時間あたり0.10ドル、ストリーミングで0.20ドルです。OpenAI の gpt-transcribe は1分0.0045ドル=1時間0.27ドル、Google の gemini-3.5-transcribe は1分およそ0.005ドル=1時間およそ0.30ドルです。いずれも各社の公式料金ページに基づく計算で、料金は変更される可能性があります。

いちばん安いのはどれですか。

公開されている単価だけで比べると、xAI の Grok Voice Transcribe 2.0 のバッチ処理(音声1時間あたり0.10ドル)がもっとも安い水準です。ただし話者分離やタイムスタンプの要否、ストリーミングが要るかどうか、日本語での実際の精度によって総額も使い勝手も変わるため、単価だけで決めることはおすすめしていません。

話者分離を使うと料金は上がりますか。

提供元によって異なります。xAI は Grok Voice Transcribe 2.0 について、話者分離・単語タイムスタンプ・キーワードバイアスを追加費用なしで使えると公式に明記しています。一方 Google の gemini-3.5-transcribe では、話者分離や単語タイムスタンプを有効にすると1リクエストで扱える音声が30分までに縮むという制約があります。

whisper-1 はいつまで使えますか。

OpenAI の公式 Deprecations ページによると、whisper-1 は gpt-4o-transcribe・gpt-4o-mini-transcribe・gpt-4o-transcribe-diarize とともに2027年2月26日に停止予定です。realtime 系・audio 系は2027年1月20日停止予定とされています。移行先は gpt-transcribe と gpt-live-transcribe です。

月に100時間の音声を文字起こしすると、いくらになりますか。

月間音声時間×1時間あたりの単価で概算できます。Grok Voice Transcribe 2.0 のバッチ(0.10ドル)なら100時間で10ドル、gpt-transcribe(0.27ドル)なら27ドル、gemini-3.5-transcribe(およそ0.30ドル)ならおよそ30ドルです。実際の請求はトークン課金のモデルだと音源によって上下します。

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