Wixの料金を調べていて、月額の数字だけ並べた比較記事に当たって終わる。これはよくある行き止まりです。Wixで実際に払う金額は、月額表の下にある規定のほうで決まります。
結論から言うと、Wixの総額を押し上げるのは「14日間返金の対象外になるもの」「プラン1つ=1サイトという縛り」「割引価格は更新時に通常価格へ戻る規定」「ドメインの別請求」「自動更新が既定」の5点です。いずれもWix公式のサポート記事に書かれていることで、推測ではありません。この5つを先に押さえてから月額を見ると、見積もりが大きく変わります。
Wixのプラン構成と、プランごとに変わるもの
Wixの有料プラン(プレミアムプラン)は4段階です。米国版の公式料金ページに表示されている月額と、プランごとに差が出る項目をまとめます。
プラン | 月額(米国公式・USD) | 容量 | サイトの共同管理者 | 無料ドメイン |
|---|---|---|---|---|
ライト | 17ドル | 2GB | 2人 | 1年 |
コア | 29ドル | 50GB | 5人 | 1年 |
ビジネス | 39ドル | 100GB | 10人 | 1年 |
ビジネスエリート | 159ドル | 無制限 | 100人 | 1年 |
この金額をそのまま日本円の見積もりに使わないでください。Wixは公式サポートで「料金はお住まいの地域によって異なる場合があります」と明記しています。日本円の請求額は日本語の料金ページで確認するのが前提で、上の表は「プランの段差がどこにあるか」を見るための参考値として扱ってください。
段差の付き方には特徴があります。容量は2GB→50GBで一気に25倍に跳ね、共同管理者は2人→5人→10人と刻まれます。会社のサイトを社内の2人以上で更新する前提なら、ライトは実務上かなり窮屈です。逆に、ページ数が少なく写真も軽い名刺代わりのサイトなら、2GBで足ります。
どのプランでも共通して付くのは、Wix広告の非表示、独自ドメインの接続、24時間年中無休のサポートです。つまり「広告を消したい」「独自ドメインで出したい」という理由だけなら、最安のライトでも目的は達成できます。
総額を押し上げる5点
1. 14日間の返金は「プレミアムプランだけ」
Wixには14日間の全額返金保証があります。ただし公式の「14日間お試し期間」の方針には、対象はプレミアムプランへのアップグレードのみと書かれており、ドメイン・メールアカウント・メルマガ配信のプレミアムプラン・アプリは返金対象外と明記されています。
ここが見積もりに効きます。初期設定で一緒に買いがちなのは、まさにドメインとメールです。「合わなければ14日で全部返ってくる」と思って一式を契約すると、返ってくるのはプラン代だけで、ドメインとメールの分は残ります。返金の反映にも最大20営業日かかる場合があるとされています。
実務では、まずプランだけを契約して2週間使い、続けると決めてからドメインとメールを足すという順番にすると、この落とし穴を踏みません。
2. プラン1つで使えるのは1サイトだけ
公式サポートには「各プレミアムプランは1つのサイトでのみ有効」と明記されています。サイトが複数あれば、サイトごとにプランを買う必要があります。
これは中小企業で実際によく効いてくる制約です。会社サイトとは別に採用サイトを立てる、店舗ごとにサイトを分ける、キャンペーンLPを独立したサイトとして作る——どれもサイトが増えるので、プラン費用がそのまま本数分になります。1サイトあたりの月額が安く見えても、3サイト運用なら3倍です。
3. 割引価格は、更新時に通常価格へ戻る
Wixはセールを頻繁に行いますが、請求についての公式サポートには「割引価格で購入されたサービスは更新時に通常価格で更新されます」と書かれています。
初年度にキャンペーン価格で入ると、2年目から金額が上がります。見積もりは「初年度の支払額」ではなく「通常価格×年数」で立てるのが安全です。社内で予算を通すときも、2年目の金額で説明しておくと後から説明し直す手間がありません。
4. ドメインは別の請求サイクルで来る
無料ドメインはどのプランでも1年ぶんです。2年目からは更新料がかかり、しかも請求のタイミングがプランと別です。公式サポートによると、ドメインは有効期限の30日前に別途請求され、プランのほうは年額・複数年プランで有効期限の3週間前に請求されます。
つまり、年に2回別のタイミングでWixからの請求が来る形になります。経理側が「サイトの費用は年1回」と思っていると、ドメインの請求が未確認のまま止まり、ドメインが失効してサイトが開かなくなる事故につながります。更新月をカレンダーに2つ入れておくのが確実です。
5. 自動更新が既定になっている
Wixのプランは、定期購入の終了時に自動で更新される設定が既定です(公式サポートに明記)。止めたい場合は自分で自動更新をオフにします。
使っていないサイトのプランが黙って更新され続けている、というのは本当に多い話です。年額プランは有効期限の3週間前に請求が走るので、やめると決めたら「期限の3週間前より手前」で自動更新をオフにするのが実務上の締切になります。
無料プランでどこまでできるか
Wixの無料プランでも、ホスティング・エディタ・テンプレートは使えます。ただし公式ページの記載どおり、Wixのブランド表示が入り、独自ドメインではなく wixsite.com のサブドメインになります。
会社の名刺やチラシに載せるURLがサブドメインだと、取引先からの信頼という面で不利になります。「公開して様子を見る」段階なら無料で十分ですが、営業資料に載せる段階に入ったら有料プランが前提です。
Mihataでもホームページ制作を行っており、「自分でWixで作るか、作ってもらうか」の手前の段階からご相談いただくことがあります。売り込みではなく、更新の頻度と社内で触れる人の数を伺って、必要なければ「Wixで十分です」とお伝えすることもあります。迷っている段階でも、よろしければお気軽にご相談ください。
評判でよく挙がる点を、公式の規定と照らす
Wixの評判としてよく挙がるのは「デザインの自由度が高い」「あとから動かしにくい」という、相反する2つです。どちらも本当で、公式の規定を読むと理由がはっきりします。
テンプレートは、公開後に別のものへ変更できない
これは評判の話ではなく仕様です。Wix公式のサポート記事には、すでに作成したサイトのテンプレートは別のテンプレートへ変更できないと書かれています。デザインを変えたい場合の手順として案内されているのは、新しいテンプレートで別サイトを作り、前のサイトからパーツやページをコピーする方法です。
そのうえで公式は、新しいサイトに既存のプレミアムプランを適用する場合、以前のコンテンツと一部の機能は移行されないこと、テンプレートの変更はサイトのSEOに影響すること、ドメインを付け替えるなら旧サイトから新サイトへ301リダイレクトを設定する必要があることまで明記しています。
費用の話に直すと、「2〜3年後にデザインを一新したい」は、Wixでは作り直しに近い作業になるということです。月額の安さで選ぶ場合は、この更新サイクルのコストを別枠で見ておく必要があります。
外部へのサイト書き出しに対応していない
他社サーバーへ持ち出せないため、乗り換えも作り直しになります。「安く始めて、育ったら本格的なサイトへ移す」という段取りを想定しているなら、移す段階で一度ゼロに戻ることを織り込んでおく必要があります。
プラン変更は「返金」ではなく「クレジット」で処理される
プランを上げ下げするときは、現在のプランの残り期間がクレジットとして付与され、新しいプランの料金から差し引かれる仕組みです(公式サポートに明記)。現金が戻るわけではありません。
公式は注意点として、14日間の返金期間内にキャンセルして返金を受けたあとにプラン変更を行うと、両方のサブスクリプションが重複し、旧プランの残りクレジットは返金されないと警告しています。「とりあえず上のプランにして、合わなければ下げよう」という動き方は、手順を誤ると損が出ます。
長期契約は安くなるが、出口が遠くなる
Wixは月額・年額に加えて2年・3年のプランを用意しており、公式サポートは長期プランのほうが節約効果とドメインクーポンなどの特典で有利だとしています。ただし年額・複数年プランは有効期限の3週間前に請求が走るため、やめる判断の締切もその手前になります。安さと身軽さは逆方向に効くので、事業の見通しが立っている期間に合わせて選ぶのが無難です。
年額の見積もりを自分で立てる式
公式の料金ページは「月額いくら」で出てくるので、年の支出として読み替える手間が残ります。次の式に当てはめると、2年目以降の実際の負担が出ます。
年間の負担=(通常価格の月額×12)×サイト数+ドメイン更新料+メール(必要なら人数分)+有料アプリの年額
ここで間違えやすいのは3か所です。①月額に割引価格を入れない(更新時に通常価格へ戻る規定があるため)、②サイト数を掛ける(プラン1つは1サイトのみ)、③ドメインとメールを足す(14日間返金の対象外=別物として扱われている)。この3つを押さえると、初年度の請求額とのズレが説明できるようになります。
社内で予算を通すときは、初年度と2年目を2列で並べた表にしておくと差し戻されません。初年度だけで出した見積もりは、2年目に必ず説明のやり直しが発生します。
向くケース・向かないケース
ここまでの規定を踏まえると、向き不向きはかなりはっきり分かれます。料金の安さだけで決めると、向かない側に入ったときの作り直しコストで逆転します。
向くケース | 向かないケース | |
|---|---|---|
サイトの本数 | 1本で足りる | 採用・店舗別・LPで複数本に増える(プランが本数ぶん必要) |
更新する人 | 1〜2人で回す | 部署をまたいで5人以上が触る |
デザインの更新 | 数年は同じ見た目でよい | 2〜3年で一新したい(テンプレート変更ができず作り直しになる) |
将来の移行 | Wixで続ける前提 | 育ったら自社サーバーやCMSへ移したい(書き出し非対応) |
社内の運用 | 自分たちで触って覚えたい | 更新は任せたい(月額に運用を含めたい) |
右の列に2つ以上当てはまるなら、月額が多少上がっても移行とデザイン更新に制約の少ない作り方を選んだほうが、3年単位の総額では安くなることが多いです。そのあたりの分岐はサブスクか買い切りかの総額の分岐点にも整理してあります。
初年度と2年目で、見える金額がどう変わるか
Wixの請求は、初年度と2年目で性質が変わります。初年度はキャンペーン価格・無料ドメイン1年・初期設定で買ったアプリが混ざるため、1回の支払いに見えがちです。2年目は通常価格に戻り、ドメインが別請求になり、アプリの更新も別に来ます。
社内の予算表では、次の3行に分けて書いておくと食い違いが起きません。
- プラン代(通常価格・サイト数ぶん)——有効期限の3週間前に請求
- ドメイン更新料——有効期限の30日前に別請求
- メール・アプリ——14日間返金の対象外。使っていないものは毎年棚卸しする
この3行で管理していれば、ドメインの更新を見落としてサイトが開かなくなる事故も防げます。実際に多いのは、担当者が替わった年に請求メールの宛先が旧担当のままで、誰も気づかないままドメインが失効するパターンです。ドメイン更新忘れでサイトが消えた場合の復旧の期限も合わせて押さえておくと、万一のときに動けます。
契約前に確認する6項目
月額表を見る前に、この6つを埋めてから料金ページへ行くと判断が速くなります。
- サイトは何本か(採用サイト・店舗別・LPを別サイトにするなら、その本数ぶんプランが必要)
- 社内で触る人は何人か(共同管理者の人数がプランの段差になっている)
- 写真と動画の総量(容量2GBで足りるか、50GB以上が要るか)
- ドメインは新規か、既存の持ち込みか(持ち込みなら無料ドメイン1年の価値はない)
- メールは独自ドメインで使うか(使うなら別費用。返金対象外である点も合わせて)
- 2年目にやめる可能性があるか(あるなら、書き出しができない点を先に理解しておく)
6つのうち①と⑥が、見積もりとその後の自由度に一番大きく効きます。①を「1本」で計算していて実は3本必要だった、という食い違いが一番金額を動かします。
「やめるとき」の条件まで見てから決める
料金を比べるときに一番抜けやすいのが、やめるときの条件です。Wixは外部ホストへのサイト書き出しに対応していないため、他社へ移る場合は実質的に作り直しになります。ドメインの移管にも期限や手順があり、思い立ってすぐ移せるものではありません。
この部分は別の記事で手順までまとめているので、乗り換えの可能性があるならWixを解約するとデータはどうなるか(移行前の確認6点)を先に読んでおくと、契約前の判断材料が揃います。
他のサービスと比べるときの見方
Wixと同じ土俵で検討されやすいサービスは、どれも「月額の安さ」ではなく「総額と解約条件」で差が出ます。比較するときは、月額・初期費用・独自ドメインの扱い・解約時のデータという4点を同じ並びで見るのが確実です。
- 月額の安さで選びやすいが無料プランが終了したペライチの料金と評判
- 店舗向けで初年度の総額が読みやすいグーペの評判と料金
- 解約の申告後に1か月ぶんの料金が発生するビズサイの料金と評判
- 無料プランの限界と年額の総額で選ぶSTUDIOの料金
- AIの自動作成にどこまで任せられるかを判断するWix・JimdoのAI自動作成のデメリット
最後に、どのサービスを選ぶ場合でも共通して確認しておきたいのは、ドメインとサーバーの名義が自社になっているかです。ここが制作会社名義のままだと、あとで動かしたいときに自分では動かせません。ドメインとサーバーの管理会社がわからない時の調べ方にまとめてあります。
月額の表は比べやすいので目を引きますが、実際の支出を決めるのは上の5点です。契約前の30分で規定を読んでおくと、2年目の予算の立て方が変わります。判断に迷う部分があれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Wixの料金は月額いくらですか?
米国版の公式料金ページ(wix.com/plans)では、ライト17ドル/コア29ドル/ビジネス39ドル/ビジネスエリート159ドルの月額が表示されています(2026年10月時点)。ただしWixは公式サポートで「料金はお住まいの地域によって異なる場合があります」と明記しているため、日本円の請求額は必ず日本語の料金ページでログイン前に確認してください。
Wixは14日間で全額返金されますか?
公式の「14日間お試し期間」の方針では、返金の対象はプレミアムプランへのアップグレードのみです。ドメイン、メールアカウント、メルマガ配信のプレミアムプラン、アプリは返金対象外と明記されています。返金の反映には最大20営業日かかる場合があるとされています。
Wixのプラン1つで複数のサイトを運用できますか?
できません。公式サポートに「各プレミアムプランは1つのサイトでのみ有効」と明記されており、サイトが複数あればサイトごとにプランを購入する必要があります。本店サイトと採用サイトを分けたい場合は、プラン費用が単純に2本分かかります。
キャンペーン価格で契約すると、2年目も同じ金額ですか?
いいえ。公式サポートは「割引価格で購入されたサービスは更新時に通常価格で更新されます」と明記しています。初年度の支払額をそのまま年額として見積もると、2年目以降で差が出ます。
Wixは公開したあとにテンプレートを変更できますか?
できません。公式サポートに「すでに作成したサイトのテンプレートは別のテンプレートへ変更できない」と明記されています。手順として案内されているのは、新しいテンプレートで別サイトを作り、前のサイトからパーツやページをコピーする方法です。その際に以前のコンテンツと一部機能は移行されず、SEOにも影響するため、ドメインを付け替えるなら旧サイトから301リダイレクトを設定する必要があるとされています。
Wixをやめるとき、サイトのデータは他社へ移せますか?
Wixは外部ホストへのサイト書き出しに対応していません。解約は「引っ越し」ではなく作り直しになるため、乗り換えを検討する段階でドメインの移管期限や素材の回収を先に確認しておくほうが安全です。